美容学校に『即戦力』を求める前に、自分たちの教育を見直したらどうですか?
今日は市内の美容学校へ、授業見学に行ってきました。
美容学校としても初めての試みだったそうで、見学しながら「本当に時代が変わったな」と感じました。
そして今回、授業を見学して感じたことは、単に美容学校の教育が進化しているということだけではありませんでした。
美容学校がここまで進化しているのに、僕たち美容室側は本当に進化できているのだろうか。
そんなことを、改めて考えさせられる一日になりました。
20年前の美容学校と、今の美容学校
僕が美容学生だったのは、もう20年以上前のこと。
学校によって違いはあると思いますが、当時の僕にとって美容学校は、国家試験に合格するための養成校という印象が強い場所でした。
美容師になるために必要な知識や技術を学ぶ。
でも、まずは国家試験に合格すること。
そんな認識だったように思います。
それから約10年前。
東京にいた頃、母校の美容学校で講師をさせていただく機会がありました。
そのときは、実際の美容室の現場に近い技術を学生に教えてほしいというご依頼でした。
「僕たちの頃とはずいぶん変わったな」
そう感じたことを覚えています。
そして今回。
さらに教育が進化していました。

技術だけではなく、お客様とのカウンセリングについても、しっかり学べる内容になっていたんです。
これには本当に驚きました。
僕が美容師として20年働いてきて、今、何よりも大切にしていることの一つがカウンセリングです。
それを美容師になる前から学べる。
本当に素晴らしい取り組みだと思います。
最後の意見交換会で思ったこと
授業見学が終わった後、参加サロンとの意見交換会がありました。
そこで何度か耳にした言葉。
またそれか。
正直、そう思いました。
学校が新しい取り組みを始めて、これだけ現場を意識した教育をしている。
それなのに、まだ学校に即戦力を求めるんですか?
ちょっと求めすぎじゃないですかね。
僕は思うんです。
学校に何でもかんでも求めて、入社した時点である程度仕事ができる人材を欲しがる。
それなら逆に聞いてみたい。
あなたのサロンには、新人を育てる仕組みがどれだけ整っているんですか?
技術を教える環境は?
成長を確認する仕組みは?
スタッフが目標を持って取り組める環境は?
そこを整えるのが経営者や教育担当者の仕事じゃないんでしょうか。
そもそも、即戦力って何ですか?
シャンプーができたら即戦力?
カラーが塗れたら即戦力?
売上を作れるようになったら即戦力?
そもそも、サロンによって考え方も違えば、技術も薬剤も教育方針も違います。
僕たちエラマには、エラマの技術と考え方があります。
仮に他のサロンで技術を習得していたとしても、それがそのままエラマで通用するとは限りません。
それなのに、美容学校に即戦力を求める。
一体、誰にとっての即戦力なんでしょうか?
そんな疑問を感じました。
学校は学校。サロンはサロン。
ここは、はっきり言いたい。
学校は、学生がお金を払って教えてもらう場所。
サロンは、僕たちがスタッフにお給料を払って働いてもらう場所。
立場が違うんです。

もちろん、美容学校と美容室が協力して、より良い教育を考えることは素晴らしいことです。
でも、教育する責任まで学校に押し付けてはいけないと思うんです。
基礎を学んで入社してきたスタッフを、どうやって一人前に育てるのか。
それは採用したサロンの責任でしょう。
僕はそう思います。
学校に意見する前に、制度を理解していますか?
さらに意見交換会では、まつ毛エクステンションなどについても意見が出ていました。
もちろん、現場の声を学校に届けることは大切だと思います。
ただ、僕が疑問に感じたのは、そもそも美容師養成の制度や実務実習の目的を、どこまで理解して発言しているのかということ。
美容師の実務実習については、厚生労働省が基準を示しています。
学校が作成した実施計画に基づき、適切な指導監督の下で行うこと。
基本的な美容技術を身につけ、状況に応じて応用できる基礎的な能力を養うこと。
そうした目的がきちんと示されているんです。
つまり、実務実習はサロンに都合のいい即戦力を完成させるための制度ではありません。
もちろん、実際に発言された方がどこまで制度を理解されていたのか、僕には分かりません。
ただ、意見を聞きながら、僕は疑問に思いました。
制度や教育の目的を理解したうえでの意見なのだろうか、と。
立派なことを言うのは簡単です。
でも、その発言には根拠があるのか。
自分自身がきちんと調べているのか。
そして何より、自分のサロンで行動できているのか。
そこが一番大切なんじゃないでしょうか。
正直、意見交換会では言い返そうかと思った場面もありました。笑
ただ、今回は学校の新しい取り組みを見学させていただく場。
僕が議論を始めるために参加したわけではありません。
でも、このブログでは言わせてください。
即戦力を欲しがる前に、即戦力に育てられるサロンを作りましょうよ。
僕はそう思います。
ちょっと余談ですが。笑
今回、学校でずいぶん注目されている美容師さんもいらっしゃいました。
学校の方々からも随分とチヤホヤされていて。
きっと、いろいろな実績がある方なんでしょう。
ただ、僕は心の中で思っていました。
もちろん、僕が知らないだけかもしれません。
でも、有名だから何なんでしょう?
実績があるから、その人の発言がすべて正しいんでしょうか?
僕はそうは思いません。
誰が言ったかより、何を言ったか。
そして、言っていることを実際に行動に移しているのか。
僕が大切にしたいのは、そこです。
僕自身も誰かに偉そうなことを言えるほど、完璧な教育システムを作れているわけではありません。
だからこそ、勉強するし、考えるし、行動する。
少なくとも、自分たちが担うべき教育を学校任せにしたくはありません。
僕たちが目指す「美容師2.0」
そして今回、もう一つ確信したことがあります。
それは、僕たちエラマが目指している美容師の姿は、従来の美容室の考え方とはすでに違うところにあるということです。
僕たちは今、「美容師2.0」という考え方を大切にしています。

僕が考える美容師2.0とは、単に髪を切る、染める、ストレートにするだけの美容師ではありません。
お客様の髪質を理解し、施術履歴を把握し、生活習慣やホームケアまで考える。
そして、今日だけではなく、5年後、10年後の髪の美しさまで考える。
お客様の髪の未来を、一緒に作っていく美容師です。
これまでの美容師の技術を否定しているわけではありません。
むしろ、これまで培ってきた技術や経験があるからこそ、その先を考えられる。
僕たちは、そこに進もうとしています。
そのために薬剤を勉強し、技術を検証し、カウンセリングを見直し、ホームケアまで含めて一つの施術として考える。
これは単なるキャッチコピーではありません。
僕たちが本気で目指している美容師の姿なんです。
大きなサロンだからすごい? もう、そういう時代じゃないと思う。
今回、いろいろな意見を聞いていて、正直に思いました。
もちろん、店舗数やスタッフ数、売上で比べれば、エラマより大きなサロンはいくらでもあります。
その規模を作り上げてきた努力や実績は、本当に素晴らしいと思います。
ただ、僕たちが目指しているのは、そこではありません。
サロンの大きさを競いたいわけでも、スタッフの人数を競いたいわけでもない。
僕たちは、お客様一人ひとりの髪と、どこまで本気で向き合えるかを追求したい。
そして、そのために必要な知識や技術を、どこまで深められるか。
そこを追求しています。
だから、もう同じ土俵で競争しているつもりはありません。
それが僕たちの考え方です。
僕たちはまだまだ小さな美容室です。
でも、小さいからこそできることがある。
一人ひとりのお客様に向き合い、一つひとつの施術を見直し、必要だと思えばすぐに行動する。
そして、スタッフと一緒に勉強しながら成長していく。
そういう美容室でありたいと思っています。
過去の実績より、今何をしているのか。
美容師歴20年。
僕にもこれまで積み重ねてきた経験があります。
東京で14年間働き、後輩の教育にも携わり、店長としてサロン運営にも関わってきました。
でも、今となっては、それは過去の話です。
もちろん、その経験が今の自分を作ってくれました。
ただ、過去の実績だけで今の自分を評価してほしいとは思いません。
大切なのは、今、何を勉強しているのか。
今、何に挑戦しているのか。
そして、今、お客様にどんな価値を提供できているのか。
僕自身、今でも知らないことだらけです。
だからこそ毎日が面白い。
新しい技術を知れば試したくなる。
疑問があれば調べたくなる。
もっと良くなる方法があるなら、今までのやり方だって変えていく。
僕はそう思っています。
最後に。
今回、美容学校の授業を見学して、学生の皆さんの姿勢にも、学校の先生方の取り組みにも、本当に刺激を受けました。
時代に合わせて教育を変えようとしている。
新しいことに挑戦している。
その行動力は、本当に素晴らしいと思います。
だからこそ、僕たちサロン側も変わらなければいけません。
学校が進化しているのに、僕たちが学校への要求を増やしているだけでは意味がない。
そして、これから美容師になる学生の皆さんには、自分がどんな美容師になりたいのか、ぜひ考えてほしいと思います。
有名なサロンに入ることがゴールではありません。
大きなサロンに入ることが成功でもありません。
そこで何を学べるのか。
どんな美容師になれるのか。
そして、どんなお客様を幸せにできるのか。
そこを大切にしてほしいと思います。
僕たちエラマも、まだまだ進化の途中です。
ただ一つ、はっきり言えることがあります。
僕たちは、従来の美容室の常識に合わせるために仕事をしているわけではありません。
そして、5年後、10年後に振り返ったとき、
「あの頃からエラマは違うことを考えていたよね」
そう言っていただける美容室になりたいと思っています。
今回、このような貴重な機会を作ってくださった美容学校の先生方、そして真剣に授業に取り組んでいた学生の皆さん、本当にありがとうございました。
参考資料:厚生労働省「美容師養成施設の教科課程の基準の運用について」